30分で上達するポーカーサテライトストラテジー

ビッグトーナメントへ参加したいけど、バイインが高い・・・って時に助けになるのがサテライト。サンデーミリオンやWSOPなどの大きな大会でディープランした、もしくは優勝したプレイヤーたちの中にはサテライトで出場権を得て、上位入賞した人たちが多く存在します。

小さなバイインのサテライトから始めて優勝できればシンデレラストーリー、はたまた、に当たったような気分でしょう。

サテライトから本大会の優勝を目指すのは気が遠くなるような道のり、と思う人もいるかもしれませんが、サテライト戦略の著者であるバリー・カーターとダラ・オカーニーは、少しの調整でサテライトゲームを大幅に向上させることができると述べています。

「Satellites in 30 Minutes/30分でサテライト」と呼ばれるポーカーサテライト戦略本から、著者のアドバイスをご紹介します。

バブルは「全か無かの法則」

ポーカートーナメントのバブルは、プレイヤーにとってお金を稼げるか否かの瀬戸際。トーナメントで手ぶらで帰宅になるか(バイインを払っただけに損失ということになりますけどね)、バイイン分は取り戻し利益を得るかのどちらかです。

これは通常のトーナメントでは重要ですが、サテライトではいわゆるバブルが終わった時点で出場権獲得となりトーナメント終了です。一般にバブルに近いほどミスは大きくなるということを常に心に留めてお来ましょう。

サテライトの哲学

この著者はポーカーをしない友人に「どうしてサテライトでは本トーナメントよりもずっと良いプレイヤーに見えるのか?」と聞かれたことがあるそうです。著者はポーカーをプレイしない相手にICMの話を持ち出すのも無意味だと思い、こう言ったそうです。

「普通のトーナメントが戦争だとしたら、サテライトは冷戦のようなもの。サテライトでは終盤になると、自分の意思を相手に示す必要があるが、実際に対決するのは極力避けたい。それを理解しているだけで、【相互確証破壊】という言葉を知らない相手よりも有利になる。」

ちょっと難しい内容ですが、「相互確証破壊」とは、核兵器を保有して対立する2か国のどちらかが相手に対し核兵器を使用した場合、もう一方の国は先制核攻撃を受けても核戦力を生残させ核攻撃による報復を行い、「一方が核兵器を先制的に使えば、最終的に双方が必ず核兵器により完全に破壊し合うことを互いに確証する」ということです。

この視点は、サテライトであなたがマニアックにプレイしていて、あまりにも多くのハンドをプレイしている、コールが多すぎる場合、あなたはソフトターゲットとして見られることになります。このアプローチは理想的ではなく、あなたは周りに「危険人物」と見えるようにしなければなりません。理想的には、良いハンドを得たときにアグレッシブにプレイすると見られること。しかし、できるだけ対立を避けること。これはファイナルテーブルのために大きなスタックを構築できるよう、強いハンドでより多くのチップを獲得するという通常のマルチテーブルトーナメントとの哲学とは対照的です。

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タイトにプレイしてバリエーションを減らす

サテライトと通常のマルチテーブルトーナメントの基本的な違いは、同じ価値の賞を求めてプレイするという事。多くのハンドをプレイしてチップを蓄積しているプレイヤーと、3BBで辛うじて入賞したタイトなプレイヤーの間に違いはないのです。トーナメントが終わった時には、二人とも同じイベントへのチケットを手に入れることになります。実際に、タイトプレイヤーの方がサテライトトーナメントではよりシートを獲得する確率が高いのだとか。

MTTでは、リスクを冒すことで利益を得ることができます。計算されたリスクを負って大きなスタックを築くことは、大きな賞金を得るのに役立ちます。セットとなることを期待してスモールペアでレイズをコールしたり、ドローハンドで追いかけたり、劣っているかもしれないハンドでコールをしたりすることは、すべてMTTで早期に破綻する戦術ではありますが、それが功を奏した時には多額のポットを確保し、ファイナルテーブルへの良いポジションにつくことができます。

ところがサテライトでは最小キャッシュが目標です。不必要なリスクを取らないことで、バストするのを避けます。

バブルに到達するためにはスタックを構築する必要がありますが、タイトでアグレッシブな戦略を採用し、ブラインドが大きくなり始めたら、スモールペアでのセットマイニングや、スーテッドコネクターのドローで追いかけたり、一か八かのをしたりせず、バブルの時に生き残れるスタックを持つことを考えます。

ブラインドが大きくスタックサイズが小さくなったら、強力なハンドでオープンシャブすること。一般的にサテライトでオープンシャブをすると、MTTの場合よりも多くのフォールドを得ることができますが、それは広いレンジで実行できるという訳ではありません。コールされることを考えた上でのハンドですること。

フォールドエクイティは、スーパーサテライトで最も重要なエクイティの形です。このサテライト戦略本の中には、自分が非常に強いハンドを持っている場合でも、相手にフォールドする機会を与えるべきだそう。バリューベットやロングボールはトーナメント全体で勝つためには素晴らしい戦略ですが、ショーダウンを避ければ避けるほど、バブルまで生き残る可能性は高くなります。

コールを避ける

サテライトで見られる最大のミスは、プレイヤーたちがオールインを広範囲にコールしてしまうことだそう。バリアンスを考え、失う可能性のある金額が大きなダメージを与えることになったり、敗退することになる場合は、オールインにコールするレンジを大幅に狭めなければなりません。

だからこそ、ブラインドが大きくなった時にはオープンレイズをしてからシャブするよりも、強いハンドでオープンシャブをした方が賢明です。あなたが最初にオールインすると、他のプレイヤーにプレッシャーがかかり、サテライトの常連プレイヤーの多くは一か八かの勝負は避けるはずです。

オールインすることで他のプレイヤーにプレッシャーをかけている場合、勝つには2つの方法が考えられます。相手にフォールドしてもらうか、相手がコールした場合にショーダウンで勝つか、です。オールインコールに直面した場合、勝つための唯一の方法はショーダウンで相手よりも良いハンドを持つこと。

必ずしもレンジからコールを排除すべきという意味ではありません。を持っていて相手がシャブした場合、明らかにコールするでしょう。ただ、コールのレンジを狭めるべきだということです。MTTで通常はコールするハンドでも、サテライトではコールするレンジをその3分の1に減らします。例えば、MTTで99+とATo+でコールするのであれば、サテライトレンジはQQ+とAKo+にしてみましょう。少しタイトすぎるかな、と思うくらいがちょうどいいそうです。

失うものを持っているプレイヤーを攻める

このルールは、テーブルで特にリードしている者がいない場合の一般的な戦略です。現在は安全だけれど、あなたがシャブしてそれにコールし、負けた場合には安全でなくなるプレイヤーに対してはアグレッシブになった方が良いのです。

バブルの近くになってプレイヤーが失速しているとき、スモールスタックはブラインドを払うことでチップを減らします。そのため、サテライトでのショートスタックは、ある時点でゲームに残るためにをしなければならないことに気づきます。そんな相手はこちらのシャブに対して良いハンドを持っている場合、コールするでしょう。

したがって、ショートスタックの相手を潰しにかかるよりも、ただ大人しく座っていれば自分の席を勝ち取ることができる、と思っているプレイヤーを攻めるのです。シャブに直面してコールし、負けてしまったらバブルを乗り越えることができなくなる恐れのある相手を。そんな相手はシャブすると、ほとんど全てをフォールドするでしょう。スタックを小さくされたくないとも思っているはずです。

しかし、ビッグスタックを持っているプレイヤーに対してはこの戦略は効きません。何度か連敗しても平均的なスタックが残るようなプレイヤーは、状況によってコールしてくるかもしれませんから。

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必要なスタックを見積もる方法

通常のトーナメントとは違い、サテライトはチップを増やすことが目的のゲームではありません。チップを増やそうとプレイをするのは、サテライトでは悪い行為の一つなんだとか。サテライト初心者は早い段階でチップを増やすことに失敗してしまい、ブラインドが上がって飛んでしまったり、チップを増やすことに成功してバブルがはじけるのを待てば良いものを、スタックを積み上げ続けようとして失敗してしまうということがよくあるそうです。

サテライトで最初に注意しなければならないのは、バブル上の平均スタックが何になるかということです。ゲーム開始から暫くしてあなたが平均スタックを持っている場合、大きなスタックを持っているプレイヤーもいれば、最後の力を振り絞って戦っているマイクロスタックのプレイヤーもいます。そこで、目標スタックの約70%に到達したら、ペースを落として不必要なリスクを取らないようにすること。

目標スタックを計算する最も簡単な方法は、テーブルのプレイヤー数×スターティングスタックです。スターティングスタックが10,000であれば、10人のプレイヤー×10,000チップ=100,000が目標スタックとなります。バブル時に10万スタックを目指し、7万くらいになったらダブルアップを目指すギャンブルよりも、そのスタックを維持することを優先しましょう。

バブルでの順位によるプレイ方法

目標スタックに到達することを目指してプレイをしますが、バブルラインを越えるために必要な実際のスタックは、いくつかの要因、特に出場権を獲得できるシート数に依存します。5つのシートが提供されているサテライトでは、50のシートが提供されているサテライトよりも大きな目標スタックを達成する必要があります。

あなたがバブルラインの上にいて、あなたとバブルラインの間にいる人数よりもバブルラインの下にいる人数の方が多い場合、通常は席が保証されていると考えられます。

例えば、残りプレイヤー数が現在120人いて、あなたが70位にいたとします。シートを獲得できるのは100人だとすると、あなたとバブルの間には30人のプレイヤー、バブルの下にはさらに20人のプレイヤーがいます。つまり、バブルの下にいる20人のプレイヤーがあなたよりも先に何かしらの行動に移す必要があり、さらに30人のプレイヤーがあなたよりも先にトラブルに巻き込まれることになります。

この状況での正しい戦略は、ポケットKやA-Kなどのプレミアムハンドであっても、全てのハンドをフォールドすること(シャブした相手が非常に少ないスタックの場合は別)。コールして負けることのデメリットの方が、コールして勝つことのメリットよりも桁違いに大きいのです。

プレイヤーがサテライトでバブル間近にバブルラインの上にいたのに、結果バブルに届かなかった時の理由は、プレミアムハンドをプレイしなくても良かったのに、プレイしたことから始まります。ほとんどのサテライトのバッドビートの話は、「エースを持っていた」から始まります。実際にはそのプレイヤーはプリフロップでフォールドすべきだったのに。

同じ例で、シートを獲得できるのが100人で120人のプレイヤーが残っており、そのうちあなたが90位にいる場合、状況は異なります。この場合、非常にタイトなプレイをするべきですが、ゆっくりと迫るバブルとショートスタックからダブルアップした数人のプレイヤーにより、あなたを窮地に陥れる可能性があります。この時もまだタイトにプレイし、自分よりチップを持つ相手との対戦は避けること。しかし、プレミアムハンドを配られた時や、タイトなプレイヤーをいじめているプレイヤーがいる場合は、そのプレイヤーを狙うチャンスです。

もしあなたがバブルラインの下にいるならば、アンすることを考えるべきです。120人残っている中の110位で100人しかシートを獲得できない場合、タイトなプレイをしていると他のプレイヤーよりも先にブラインドで飛んでしまうでしょう。他のプレイヤー10人がミスをするのを待つだけでは不十分です。儲かるチャンスがあると見たら試すべきです。

まとめ

なるほど、と頷ける箇所はたくさんありますね。サテライトの場合、バブルラインの上にちょっと上にいるならプレミアムハンドも全てフォールドしろ、というストラテジーにはちょっと驚きでした。でもよく考えてみると、そうですよね・・・順位が上がったところで賞品が変わる訳ではないのだから、下手に動いて順位を下げることも考えられますものね。

「相互確証破壊」という難しい言葉も出てきましたが、これも納得。お前が核兵器使ったら俺も使うぜ、そしたらお互いにお終いだぜ、だったら対立は避けようじゃないか。ってことなのね。

これらのストラテジーを使えば、次のサテライトではシートを獲得し、本トーナメントでディープランできるかも?!

🏆 サテライトでシートを獲得したら、いよいよビッグトーナメントへ
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